やっぱり30cmは最高だぜ!

くまたん(飼い主)とハムスターのホーリーが生意気にも水草水槽にチャレンジしています。

#9 こんなはずじゃなかっただろ…

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「予定が少し崩れたせいで、ものすごく衝動的になることってありませんか?」

「こんにちは、くまたんです」

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「実体を晒してしまいました照」

「ホーリーです」

「で、何の話?」

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「うん、生体を入れる話したやん?」

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「したねえ、さっきゴソゴソしてたね」

「で、何買ったの?」

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「ちょ、見る前にこういう話を聞き給へ」

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「長いと寝るよ?」

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「簡単に言うよ、私小説風に…」

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「はい、皆さん、飛ばしていいところですよ~」

 ↑これホンマです。飛ばしてください。

 

 その日、私はかねてから準備を進めていた水草水槽に泳がせる熱帯魚を購入するため、慣れない車を走らせていた。

 このところ、嫁の運転で助手席に座ることが多かったので、目的地のペットショップに着いたときにはすでに疲れが出ていたのかも知れない。もっともこれは後付けの理由で、そのときはアクアエリアのレイアウト水槽や、様様な生体の泳ぐ姿を見て、一気にテンションが上がってしまったのだが。

 さて、水草が綺麗に生い茂り、それでいて涼しげな風が吹いているような水景を目指している私は、そのイメージに合うような小柄で動きもそう大きくなく、それでいて存在感抜群、そういった魚を求めていた。

 事前に下調べしてきた結果、私の意図に見合う魚は『スカーレット・ジェム』に違いないと結論づけていた。

 碁盤状に規則正しく並べられた水槽をくまなく見て回ると、はたしてスカーレットジェムはそこにいた。

 1尾550円、思っていた以上に安い。私は店員を呼んでたずねた。

 「すいません、これ4尾欲しいんですけど」

 「いいですけど、ちゃんと餌づけできます?」

 彼の聞き方に若干の『こいつ、初心者のくせに調子のんなよ、所詮、月刊アクアライフの特集見てやってきたクチやろうが』といった臭いをかぎつけた私は毅然とした態度で言い放った。

 「大丈夫ですよ!毎日決まった時間に決まった量をあげますから」

 すると彼は、嘲笑禁じ得ずといった体でうすら笑いを浮かべながら、私にこう言った。

 「そういうことじゃなくて、これ、アカムシしか食べませんよ」

 「へ?」

 ギャグ漫画なら、私の眼はゴマ粒ほどの点となり、あご下まで水っぱなを垂らし、頭上に大きなクエスチョンマークが出ていたところである。

 「あ、ご存じなかったですか、いや、知らずに買って行って、後になって…」

 「は、はあ…」

 最後の方の店員の言葉は耳に入って来なかった。生餌、ピンセットでの餌やり。魅力的だが、正直自信がない。

 欲しかった気持ちを覆い隠していく、不安感。それを見越してかは知らないが、店員はなおもジェムの飼育法について説明を続けている。

 彼の勝ち誇ったような笑顔を凝視することができず、私は隣の水槽に目を移した。

 「グッピーにも興味あるんですか?」

 「いや、水草やりたいんで。グッピーって弱アルカリじゃないとだめですよね」

 私が装備しているなけなしの知識だった。「ビギナーのアクアリウムブック」のグッピーのページが頭をよぎった。熟読していてよかった。ありがとう誠文堂新光社

 と安堵したのもつかの間、店員はまたしても冷や水を浴びせるような言葉を放ち、いっそう私を動揺させたのだ。

 「あ、国産のグッピーなら弱酸性で大丈夫っすよ」

 「え!」

 私の思考は停止した。こういうことは常識だったのか、またしても無知をひけらかしただけで終わってしまうのか…!

 そう思った瞬間、私の右手は石とは無関係にグッピーの水槽を指さしていた。

 「じゃ、じゃあ、この赤いのください…」

 「はい、どうも!1ペアでいいですか?」

 「…あ、じゃあ2ペアで」

 「この赤いオスと、メスはどうしますか」

 「あ、じゃあ…次は青いので」

 「他、いいですか」

 「あ、jjj、じゃあこのランプアイを…2匹」

 私の頭の中で飼いハムスターのホーリーが『予定と全然違うやんか!ていうか、ランプアイもアルカリ向きやろ!』とキーキー怒っている姿が浮かんだ。

 やめてくれホーリー、俺は精いっぱい戦った。その結果がこのざまさ。笑うがいい。このワキ汗の量を…。

 帰り道、あらためて自分の体がどっと疲れたことに気がついた。

 おりしも街は黄昏時。全ての景色は夕日に染まり、行き交う車のフロントガラスにも薄赤い光線が反射している。冬の寒い街並みにそれらの光はとても美しく、私はふいに先ほど指を伸ばしたグッピーの赤い尾びれを思い出した。

 「グッピーも…悪くないかもしれない」

 自分に言い聞かせるように声に出してつぶやいた自分が妙に哀れで、私は車の中で声を出して笑った。

 冬の寒さはこれからが本番だとカーラジオがつぶやいた…

 

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「完!」

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「完じゃねぇよ!」

「長すぎるわ!」

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「まあ、かいつまんで言うと」

「何か慌ててしまって予定してなかった」

グッピー2ペア買いました」

「ついでにランプアイ2尾ね」

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てへぺろ

「って感じですね」

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「4行で済む話だよ!」

「読んでくれた人に時間と心の平安を返せよ!」

「ていうか、彼らの怒りをやわらげる粗品を送れよ!」

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「まあ、実際店員さんは親切心で色々教えてくれたんですよね」

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「だいたい分かってたよ!」

「勝手にテンパっただけだろ!」

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「小心者なんで、店員さんの手をとめたら」

「何か買わないと!って思ってしまうわけですよ」

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ラッセンのコピー絵とか高額で買わされるな、いつか」

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「まあ、そんなこんなで買ってきたグッピーさんたちです」

「はい、どん!」

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「写真が見にくいなあ…」

「確かに赤が綺麗やけど…」

「あれ?このメスちゃん」

「めっちゃソイルほじくり返そうとしてない!?」

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「入れた途端にこんな調子!」

「がんがんソイルに突撃かまします」

「考えたら、水草ブログやってる人でグッピー入れてる人、見たことないよね~」

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「ドアホウ!!」

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「まあ、このときまでは、俺ってパイオニア?」

「とか思ってたんです」

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「もう言葉もないね」

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「ところが、僕の受難はこれだけで終わらなかったのです!!」

「では、小説、第2部を…」

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「絶対、やらせない!!」

 

ホーリーがマジで怒ったので続きはまた明日

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